沖縄の植物で最も親しまれているゲットウ

  

 沖縄の人々にとって最も親しまれている植物は、用途の多い「ゲットウ」でしょう。

現地の人々は「月桃」と書いても「サンニン」と呼びますが、近年の関心や趣味の高くなった本州の人々は漢字読みで「ゲットウ」と読みます。フリー百科事典「ウィキペディア」では「ゲットウ」の他にサニ、サニン、サヌイン、サネン、ムチガシャムチザネン、マームチハサーなどと呼ぶ地方があり、沖縄近辺の大東島や、八丈島ではソウカ、小笠原ではハナソウカと記されると述べていますから、南太平洋の自然と文化の交流があったことがわかります。本種に関して牧野博士によれば、ゲットウは台湾名「月桃」に基づきサニンは沖縄名「砂仁」に基づく(但し砂仁の解釈は諸説ある)ようです。

 さて、ゲットウは偽茎(葉柄)がしっかりと立ち上がって育ち、5〜6月に葉巻状になった文字どおり茎のように見える葉を展開します。その中から「白・紫・赤・黄」色とりどりの細い釣鐘状の30個程の蕾を花茎の下部から次々に美しく咲かせてゆきます。とりわけ美しい斑入り葉の種類は観賞用として上等というに他なしですが、他の近縁種と混同されることがよくあるので要注意です。後日この花はオレンジ色の球形の果実を鈴生りにし、下から上に熟させて行きます。

 ゲットウの葉は良い香りの油が含まれ、食べ物の香り付けや、肉や魚を包んで蒸し焼きにする他、虫除けやカビ除けなど様々に利用されます。種子は漢方薬として咳止めや整腸剤として使われ、またお茶にして飲まれます。

 沖縄の人々にとって大切な行事のひとつは、旧暦の12月8日にゲットウの葉で餅を包み蒸した「ムーチ」を食べ一年の厄を払い健康を祈願すること。この「ムーチー」は鬼餅とも呼ばれます。鬼になってしまった兄を妹が餅を使って退治したという伝説があるそうです。またこの行事で子供の年の数だけ作ったムーチーを毎日一つずつ食べさせるという慣わしもあるようですが、ゲットウの効果か、最後の日になっても餅が黴びることはないと言われています。

 

                                                  文責 高橋良孝 

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